FX自動売買の世界に長くいると、時代の流れというものをひしひしと感じます。私(為替コヤジ)がFX自動売買を始めた頃、選択型自動売買の代名詞といえば「ミラートレーダー」でした。プロのストラテジーをそのままコピーするだけで自動売買ができるという革新的な仕組みは、当時多くのトレーダーを惹きつけました。しかしそのミラートレーダーも、今やほぼその姿を消してしまっています。
選択型自動売買はなぜ衰退したのか。みんなのシストレはどうなっているのか。そして今後の選択型に希望の光はあるのか。この記事では、選択型自動売買のこれまでの歴史を振り返りながら、FX自動売買の現在地と今後の展望を解説します。
なお、選択型自動売買やリピート型自動売買など、FX自動売買の種類について基礎から理解したい方は、まず下記の記事をご覧ください。
▶ FX自動売買を機能面で4つに分類!あなたにぴったりな自動売買を見つけよう!
- 選択型自動売買(ミラートレーダー)の全盛期と衰退の歴史
- ミラートレーダー・シストレ24が衰退・終了した本当の理由
- みんなのシストレが縮小している現状と背景
- くりっく365対応の新サービス「シストレセレクト365」への期待
- MT4の衰退とMT5が伸び悩む理由(参考情報)
- なぜ今の時代はリピート型自動売買が主流なのか
選択型自動売買とは何か?まずおさらい

「選択型自動売買」とは、あらかじめ用意されたストラテジー(売買プログラム)の中から好みのものを選ぶだけで、あとはシステムが自動で売買してくれる仕組みです。プログラミングの知識も、テクニカル分析の経験も不要。初心者でもプロと同じ売買ロジックを使えるという点が最大の魅力でした。
FX自動売買はリピート型・選択型・設定型・プログラム型の4つに大別されますが、選択型はその中でも最も手軽に始められる種類として、2010年代を中心に一世を風靡しました。その選択型自動売買を牽引したのが、「ミラートレーダー」というプラットフォームです。
ミラートレーダー全盛期の歴史

ミラートレーダーは、イスラエルのトレーデンシー(Tradency)社が開発した選択型自動売買のプラットフォームです。世界中のストラテジープロバイダーが提供する売買プログラムを選ぶだけで自動売買ができるという仕組みで、2010年代前半に日本市場でも急速に普及しました。
全盛期には国内だけでもインヴァスト証券(シストレ24)、セントラル短資FX(セントラルミラートレーダー)、アヴァトレードジャパン、Forex.com、シストレ.comを含む複数のFX会社がミラートレーダーを採用。海外ではFXDDなども参入し、まさに「選択型自動売買=ミラートレーダー」という時代が続きました。
当時の魅力は次のような点にありました。
- MT4のように専用ソフトのインストールやVPSが不要(Webブラウザで操作可能)
- ストラテジーは無料で利用できるものが多数
- 世界中のプロのトレーダーや機関投資家のロジックをコピーできる
- 複数のストラテジーを組み合わせたポートフォリオ運用が可能
特にシストレ24(インヴァスト証券)は、ストラテジー数の豊富さと独自ツール「Myシストレ24」の使いやすさで、選択型自動売買の筆頭として多くのFXトレーダーに支持されていました。
なぜミラートレーダー・シストレ24は衰退したのか

全盛を誇ったミラートレーダーですが、2010年代後半から急速に存在感を失っていきました。その衰退にはいくつかの根本的な理由があります。
理由①:勝ち続けるストラテジーを見つけるのが難しい
選択型自動売買の本質的な課題は、「長期にわたって勝ち続けるストラテジーを選ぶのが非常に難しい」という点にあります。ミラートレーダーやシストレ24には数百〜数千のストラテジーが存在しており、1か月・3か月のスパンで好成績なものは見つかります。しかし、1年・2年・3年と安定して好成績を維持するストラテジーとなると、極めて少ないのが実情でした。
ストラテジーの定期的な入れ替えが必要になるため、実質的にはユーザー自身の目利き力が問われる、上級者向けのサービスになってしまっていました。
理由②:売買ロジックが「ブラックボックス」で不透明
選択型自動売買の多くは、ストラテジーの中身、つまり「どこで買ってどこで売るか」の判断根拠がユーザーには見えません。損失が出ても「なぜ負けているのか」がわからず、ユーザーにとって非常に不安な状況が続きます。
これに対してトラリピやループイフダンなどのリピート型自動売買は、注文がすべて可視化されており、透明性の高さが際立っていました。リピート型自動売買の台頭により、ブラックボックスの選択型から透明性の高いリピート型へとユーザーが流れていくのは、ある意味必然の流れだったと言えます。
理由③:技術的な問題と開発元のやる気の低下
2020年12月、Adobe Flash Playerのサポート終了に伴い、シストレ24の取引ツール「MirrorTrader」がそのまま使用不能となりました。通常であれば開発元のトレーデンシー社がFlashに依存しない新しいツールを開発するところですが、同社はそれを行いませんでした。このことは、ミラートレーダーというプラットフォーム自体の開発が事実上止まっていたことを示していました。
理由④:FX会社の選択と集中
インヴァスト証券にとって、シストレ24は収益性の低い事業になっていました。一方、同社が提供するトライオートFX・トライオートETFは好調を維持。不振のシストレ24を切り捨て、好調なサービスに経営資源を集中するという判断が下されたのは、経営戦略上、合理的な決断だったと言えるでしょう。
衰退・終了の年表
- 2018年7月:アヴァトレードジャパンがミラートレーダーのサービスを終了
- 2020年12月:Adobe Flash Player終了に伴いシストレ24の取引ツール「MirrorTrader」が使用不能に
- 2021年1月:シストレ24が新規口座開設の申込を終了
- 2021年2月:シストレ24が新規シグナル配信を停止
- 2021年3月:シストレ24が口座閉鎖。証拠金はトライオートFXへ移管
- 2022年10月:セントラル短資FXがセントラルミラートレーダーのサービスを終了
こうして国内で長年ミラートレーダーを支えてきた主要FX会社が相次いでサービスを終了し、日本市場からミラートレーダーの名前はほぼ消えてしまいました。
みんなのシストレはどうなっているのか

ミラートレーダーが姿を消した後も、選択型自動売買として存在感を保ち続けているのがトレイダーズ証券の「みんなのシストレ」です。みんなのFXで実際に取引しているリアルなトレーダーの売買をコピーできる(コピートレード)という独自の仕組みで、ミラートレーダーとは一線を画したサービスとして評価を受けてきました。
しかし、みんなのシストレも近年は縮小傾向が見られます。
2025年1月に69本のストラテジーが一斉終了
2024年12月、トレイダーズ証券は「みんなのシストレ」において、2025年1月31日をもって一部ストラテジー計69本のシグナル配信サービスを終了すると発表しました。対象となったのは、「与作」「DancingTwin」「MythicalFX」「BlackJack」「ブルースカイ」など、長年にわたって多くのユーザーに親しまれてきた主力ストラテジーを含む69本です。
これだけの規模でストラテジーが一度に終了するのは、みんなのシストレにとっても異例の事態です。選択型自動売買全体の縮小という大きな流れの中での出来事として、重く受け止める必要があります。
みんなのシストレが抱える構造的な課題
みんなのシストレには、選択型自動売買が本来持つ「ストラテジー選びの難しさ」という課題に加えて、固有の問題もあります。スプレッドが通常のFX口座より広めに設定されており、また取引1回につき0.2pipsが投資助言報酬としてスプレッドに上乗せされます。取引頻度の高いストラテジーを選ぶと、そのコストが積み重なりやすくなります。
また、ストラテジーのパフォーマンス表示期間が最大で直近1年間のデータに限られているため、長期的な実績を確認することが難しいという点も、ユーザーにとってストラテジー選択を難しくしている要因の一つです。
シストレセレクト365に期待したい

選択型自動売買が全体的に縮小傾向にある中、私が注目しているのがフジトミ証券の「シストレセレクト365」です。
シストレセレクト365とはどんなサービスか
シストレセレクト365は、東京金融取引所に上場する取引所FX「くりっく365」を対象とした選択型自動売買サービスです。フジトミ・ストラテジー研究所に所属する研究員が考案したストラテジーをキャラクター化して提供しており、好みのキャラクターを選ぶだけで自動売買が始められます。年間利用料はわずか990円(税込)と非常にリーズナブルで、追加の月額費用や成功報酬は発生しません。
取扱通貨ペアは米ドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円など8通貨ペア。最低証拠金は5万円から、最小取引単位は1,000通貨単位となっています。
くりっく365を使う最大のメリット
シストレセレクト365が他の選択型自動売買と大きく異なる点は、取引所FX「くりっく365」を使っている点です。通常の選択型自動売買は店頭FX(FX会社と投資家が直接取引)を使いますが、くりっく365は東京金融取引所が運営する取引所取引です。
くりっく365の取引所取引には以下のメリットがあります。
- 価格の透明性が高い:ゴールドマン・サックス証券やドイツ証券など世界トップクラスの金融機関がマーケットメイクを行っており、取引所が公正な価格を提示
- スワップポイントの信頼性が高い:FX会社が任意に設定する店頭FXと異なり、取引所が管理するため信頼性が高い
- 24時間自動監視:仕事中や睡眠中でもシステムが自動で相場を監視・取引
選択型自動売買が抱えてきた「透明性の低さ」という弱点を、くりっく365という取引所取引で補っているのがシストレセレクト365の大きな魅力です。
くりっく365の詳細については下記もご参考にどうぞ。
▶ くりっく365でFX自動売買!くりっく365の隠れたメリットとは?
参考情報:MT4の衰退とMT5の伸び悩み

選択型自動売買の歴史を語る上で、プログラム型自動売買の代名詞であるMT4(MetaTrader4)の動向も参考情報として触れておきましょう。
MT4の開発終了と段階的な衰退
MT4は2005年にMetaQuotes社がリリースして以来、世界標準のFX取引プラットフォームとして20年以上にわたり使われ続けてきました。しかし、開発元のMetaQuotes社は2018年に「MT4は時代遅れのプラットフォーム」として段階的な廃止方針を発表。新規のFX会社向けへのMT4提供を終了し、後継のMT5への移行を強力に推進しています。
実際に2021年にはBuild 1320以前の旧バージョンのサポートが終了、2024年12月にはさらに古いバージョンのサポートが終了するなど、段階的にMT4の利用環境は狭まっています。MetaQuotes社の公式サイトからはMT4のダウンロード自体ができなくなっており、新規ブローカーへのMT4提供は廃止されています。
MT5が伸び悩む理由
MT4の後継として期待されるMT5(2010年リリース)ですが、思うように普及が進んでいないのが現状です。その最大の理由は「MT4とMT5に互換性がない」という点にあります。MT4向けに開発されたEA(自動売買プログラム)やカスタムインジケーターは、MT5ではそのまま使えません。
MT4ユーザーがMT5に移行するためには、使い慣れたツール環境を一から作り直す必要があり、この「乗り換えコスト」がMT5普及の大きな障壁となっています。また、MT5向けの優秀なEAは質・量ともにMT4に遠く及ばないのが現状で、自動売買を本格的に行うユーザーほどMT4から離れにくい状況が続いています。
ただし、今後は開発者のリソースがMT5に集中するため、長期的にはMT5への移行が進むとみられます。いずれにしても、MT4依存のプログラム型自動売買もまた、転換期を迎えていると言えるでしょう。
時代はリピート型自動売買へ
ミラートレーダーの衰退、シストレ24の終了、みんなのシストレの縮小——。選択型自動売買が次々と苦境に立たされる中、その空白を埋めるように台頭してきたのがリピート型自動売買です。
リピート型自動売買が支持される理由
リピート型自動売買とは、あらかじめ設定したレンジの中で、一定値幅ごとに買い・売りの注文を自動的に繰り返す仕組みです。代表的なサービスとしては、マネースクエアの「トラリピ」、インヴァスト証券の「トライオートFX」、アイネット証券の「ループイフダン」などがあります。
リピート型自動売買が選択型に取って代わった理由は明確です。
- 透明性が高い:どこで買ってどこで売るかがすべて見えている。注文の根拠がブラックボックスではない
- 長期運用に向いている:レンジ相場が続く限り、コツコツと利益を積み上げ続けられる
- 自分でコントロールできる:レンジや値幅、資金配分を自分で設定するため、納得感を持って運用できる
- 情報が豊富:運用者ブログや公式の設定例など、参考にできる情報が選択型と比べて圧倒的に多い
私自身も現在はトラリピを中心にリピート型自動売買で運用しており、選択型の時代から大きく舵を切りました。選択型でストラテジー選びに悩み続けた経験があるからこそ、「自分で設定を理解した上で運用できる」リピート型の安心感は格別です。
リピート型自動売買 初心者はここから
リピート型自動売買に興味を持った方は、まず下記の記事で基礎を学ぶことをおすすめします。
まとめ:選択型自動売買の歴史から学ぶこと

選択型自動売買(ミラートレーダー)が全盛を誇った2010年代から、現在に至るまでの歴史を振り返ると、いくつかの教訓が見えてきます。
- ストラテジー選びの難しさ(ブラックボックス問題)は、選択型自動売買の本質的な課題だった
- 透明性の高いリピート型自動売買の台頭が、選択型衰退の最大の要因だった
- 開発元の意欲や技術的な問題も、サービス継続の大きなリスクになる
- シストレセレクト365のように、くりっく365という取引所取引を活用することで、透明性の課題を克服しようとする新しい選択型の動きもある
選択型自動売買が完全に消えてしまったわけではありませんが、その主役の座はリピート型自動売買に移ったというのが、為替コヤジの正直な見方です。とはいえ、シストレセレクト365のような新たな試みは注目に値します。自動売買の世界はまだまだ進化の途中。これからも目が離せません。
最後に、FX自動売買全体のおすすめランキングも参考にしてみてください。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品への投資を勧誘するものではありません。FX取引にはリスクが伴います。投資はご自身の判断と責任で行ってください。


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