「設定型自動売買に挑戦したいけれど、何から覚えればいいのかわからない…」
そんな疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。設定型自動売買は選択型自動売買と違い、売買ルールを自分で設定できる分、自由度が高い反面、ある程度の基礎知識が必要です。特に注文方法(オーダータイプ)とテクニカル指標(インディケーター)の理解は、設定型自動売買を正しく動かすうえで欠かせない基本中の基本です。
私・為替コヤジはFX自動売買を10年以上続け、リピート型・選択型・設定型・プログラム型と、あらゆるタイプの自動売買を実際に運用してきました。その経験から言えるのは、設定型自動売買で失敗する人の多くは、注文方法やインディケーターの基礎を軽視しているということです。
この記事では、設定型自動売買をこれから始める方・すでに始めているがうまくいっていない方に向けて、知っておくべき注文方法とテクニカル指標をできるだけわかりやすく解説します。
- 設定型自動売買とはどんな自動売買か
- 設定型自動売買で使われる主な注文方法(IFD・OCO・IFO・トレール注文)の仕組みと特徴
- 設定型自動売買で活用できる主要テクニカル指標(移動平均線・ボリンジャーバンド・RSI・MACDなど)の見方
- 注文方法とインディケーターを組み合わせたロジックの作り方のポイント
- 設定型自動売買を始める前に知っておくべき注意点
設定型自動売買とは?まずは全体像をおさらい

設定型自動売買とは、FXシステムトレード(自動売買)の種類のひとつで、売買ルールをユーザー自身が自由に設定できる自動売買です。あらかじめ用意されたプログラムを選ぶだけの選択型自動売買とは異なり、「どんな条件で買うか」「どのくらい利益が出たら決済するか」といったルールを自分で組み立てます。
設定型自動売買の代表的なサービスとしては、以下のようなものがあります。
- トライオートFX(インヴァスト証券):ビルダー機能でリピート注文を自作可能
- システムトレード(三菱UFJ eスマート証券 FX):8種類のテクニカル指標を使った設定型シストレ
- FXダイレクトプラス(セントラル短資FX):設定型自動売買に対応
- ProOrder(IG証券):約90種類のテクニカル指標を搭載した高機能ユーザー設定型シストレ
設定型自動売買の詳しい特徴や各サービスの比較については、設定型自動売買ガイドをご覧ください。
設定型自動売買はFX中級者〜上級者向けとされていますが、基礎知識を身につければ初心者でも十分に取り組めます。その基礎知識の中でも特に重要なのが、これから解説する注文方法とテクニカル指標です。
設定型自動売買で知っておくべき4つの注文方法

設定型自動売買では、売買ロジックを組み立てる際にいくつかの注文方法を組み合わせます。ここでは特に重要な4つの注文方法について解説します。なお、これらの注文方法はリピート型自動売買でも広く使われている基本的な概念です。
IFD(イフダン)注文:新規→決済をセットで発注
IFD注文は設定型自動売買の根幹をなす最重要の注文方法です。まずはここからしっかり理解しておきましょう。
IFD(If Done)注文とは、新規注文と決済注文を一度にセットで発注できる注文方法です。「もし〇〇円で買えたら、そのあと××円で売っておいてほしい」という2段階の注文を、あらかじめまとめて出しておけるのが最大のメリットです。
具体的な使い方のイメージとしては次のとおりです。
- 「ドル円が140.00円まで下がったら買いエントリー(新規注文)」
- 「その後、141.00円に達したら売って利益確定(決済注文)」
このふたつをひとまとめにしてあらかじめ発注しておけるのがIFD注文です。裁量取引でいちいち画面に張り付いて注文を入れる必要がなく、自動売買との相性は抜群です。
なお、IFD注文は「イフダン注文」とも呼ばれます。トラリピの正式名称「トラップ・リピート・イフダン」にも含まれているように、リピート型自動売買の多くはIFD注文を繰り返す仕組みを採用しています。
IFD注文例① [新規→決済]
現在101円。100円になったら買いたいが、もし買えたらそのあとは102円で売って利益を確定したい。
引用元:マネースクウェア・ジャパン「FXの基本的な注文方法」
IFD注文例② [決済→新規]
100円の買いポジションを持っている。102円になったら売りたいが、もし売れた後に再び100円になったらまた買いたい。

引用元:マネースクウェア・ジャパン「FXの基本的な注文方法」
OCO(オーシーオー)注文:2つの注文を同時に出してどちらかをキャンセル
OCO(One Cancel the Other)注文は、2つの注文を同時に発注し、一方が成立した時点でもう一方を自動的にキャンセルする注文方法です。
わかりやすく言うと、利益確定の指値注文と損失限定の逆指値注文を同時に出しておき、どちらかが先に約定したらもう一方はキャンセルされる、というイメージです。
- ドル円が140.00円で買えたポジションに対して、「上がれば141.00円で利益確定(指値)」かつ「下がれば139.00円で損切り(逆指値)」をOCOで発注
- 先に141.00円に達したら利益確定、同時に139.00円の損切り注文がキャンセルされる
OCO注文は、エントリー後の出口戦略をセットしておく際に非常に便利です。なお、IFD注文とOCO注文をさらに組み合わせた発注方法をIFO(アイエフオー)注文と呼びます。
OCO注文例① [決済注文]
101円で買ったポジションに対して、上がったときには102円で利益を確定したいが、もし下がってしまったときには100円で損失を限定しておきたい。

引用元:マネースクウェア・ジャパン「FXの基本的な注文方法」
OCO注文例② [新規注文]
100~102円のレンジを形成しているが、このレンジを上抜けもしくは下抜けしたときにはトレンドが発生するのでは?と考えた場合。
引用元:マネースクウェア・ジャパン「FXの基本的な注文方法」
IFO(アイエフオー)注文:IFDとOCOを合わせた万能注文
IFO注文はIFD注文とOCO注文を組み合わせた発注方法で、新規注文・利益確定・損切りの3つをまとめて設定できる非常に使い勝手の良い注文方法です。
具体的には「○○円で新規買い → 上がれば××円で利益確定 / 下がれば△△円で損切り」という一連の流れをひとつの注文で設定できます。
設定型自動売買でロジックを組む際には、このIFO注文が基本形になることが多いです。新規エントリーから決済まで一貫した売買ルールを事前に設定しておけるため、感情に左右されない機械的なトレードが可能になります。
トレール注文:利益を追いかける最強の決済方法
トレール注文は、設定型自動売買の中でも特に注目度の高い注文方法です。私・為替コヤジが「最強の発注方法」と呼ぶほど、うまく使えば強力な武器になります。
トレール注文とは、相場が有利な方向に動いた場合に決済価格も追随して変動する、決済専用の注文方法です。相場が不利な方向に動いた場合は、決済価格は変わりません。
例えば、買いポジションを持っているときに「トレール幅=50銭」でトレール注文を設定したとします。レートが上昇すれば決済価格も50銭の幅を保ちながら追随していきます。その後レートが反転下落した場合、最高値から50銭下がったところで自動的に決済されます。
トレール注文のメリットは、利益が出ている方向にはどこまでも乗り続け、反転した瞬間に自動で利益確定できる点です。通常の指値注文では「もう少し待てばもっと利益が出たのに…」という後悔が生まれることがありますが、トレール注文ならそのような取りこぼしを防ぎやすくなります。
ただし、トレール幅の設定には注意が必要です。トレール幅を狭くしすぎると相場の小さな揺れですぐに決済されてしまいますし、広くしすぎると利益の取りこぼしが大きくなります。トレール幅は通貨ペアのボラティリティ(値動きの大きさ)に合わせて設定することが重要です。
トレール注文の詳しい解説は最強発注方法”トレール注文”とは?の記事もご参照ください。
4つの注文方法の違いをまとめると

ここまでの4つの注文方法を簡単に表でまとめると以下のようになります。
| 注文方法 | 概要 | 主な用途 |
|---|---|---|
| IFD(イフダン) | 新規注文+決済注文をセット発注 | エントリー条件と利確価格をあらかじめ設定 |
| OCO(オーシーオー) | 2つの注文を同時発注し、一方が成立したら他方をキャンセル | 利確と損切りの両方を同時設定 |
| IFO(アイエフオー) | IFD+OCOの組み合わせ(新規+利確+損切りを一括設定) | 一連の売買ルール全体をまとめて設定 |
| トレール注文 | 有利な方向に決済価格が追随する決済専用注文 | 利益を最大化しながら自動決済 |
これらの注文方法と後述するテクニカル指標を組み合わせることで、はじめて「自分だけの売買ロジック」が出来上がります。
設定型自動売買で使うべきテクニカル指標(インディケーター)

注文方法の次に理解すべきはテクニカル指標(インディケーター)です。設定型自動売買では、「どのタイミングでエントリーするか」「どの価格で決済するか」をテクニカル指標のシグナルに基づいて設定することが多く、その精度が運用成績に直結します。
テクニカル指標はざっくり分けると、トレンド系とオシレーター系の2種類があります。トレンド系は相場の方向性を把握するための指標、オシレーター系は相場の過熱感や売られ過ぎ・買われ過ぎを判断するための指標です。それぞれを組み合わせて使うのが基本的なスタイルです。
移動平均線(MA):最もシンプルで使いやすいトレンド系指標
移動平均線は、過去の一定期間の終値を平均してつないだ線で、FX・株式問わず最もよく使われているテクニカル指標のひとつです。設定型自動売買のエントリー条件に組み込みやすく、初めてテクニカル指標を使う方にも扱いやすいのが特徴です。
移動平均線には短期・中期・長期の3種類を表示して使うのが一般的です。主な使い方は以下のとおりです。
- ゴールデンクロス:短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜けたとき → 上昇トレンドへの転換を示す買いサイン
- デッドクロス:短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に突き抜けたとき → 下降トレンドへの転換を示す売りサイン
- 価格が移動平均線の上にあるときは上昇トレンド、下にある場合は下降トレンドと判断
設定型自動売買では、「短期MAが長期MAをゴールデンクロスしたらロングエントリー」といった条件をシステムに設定することができます。シンプルながら実用性が高く、多くのサービスで使えるベーシックな指標です。
ボリンジャーバンド:レンジ相場でも順張りでも使える万能指標
ボリンジャーバンドは、移動平均線を中心に、上下に統計的な価格変動の範囲(バンド)を表示するテクニカル指標です。アメリカのジョン・ボリンジャー氏が考案しました。auカブコム FXのシストレ機能でも標準搭載されているなど、設定型自動売買との相性が特に良い指標のひとつです。
バンドは通常、中心の移動平均線から標準偏差(σ:シグマ)の倍数で計算されます。最もよく使われるのが±2σ(プラスマイナス2シグマ)です。
主な使い方は以下のとおりです。
- 逆張り:価格が下側の−2σに近づいたら「買われ過ぎ」として買いエントリー、+2σに近づいたら「売られ過ぎ」として売りエントリー
- 順張り(バンドウォーク):価格が+2σに沿って上昇し続ける(または−2σに沿って下落し続ける)場合は強いトレンドの継続として順張り
- スクイーズとエクスパンション:バンド幅が狭くなる(スクイーズ)後にバンドが大きく広がる(エクスパンション)タイミングは、大きな値動きの予兆として注目
ボリンジャーバンドは単独でも使えますが、後述するRSIやMACDと組み合わせると判断の精度がさらに高まります。
RSI(相対力指数):売られ過ぎ・買われ過ぎを数値で把握するオシレーター
RSI(Relative Strength Index=相対力指数)は、J.W.ワイルダー氏が考案したオシレーター系の指標で、相場が買われ過ぎか売られ過ぎかを0〜100%の数値で示します。シンプルで直感的に使いやすく、FX初心者にも人気の高い指標です。
RSIの期間設定に決まりはありませんが、開発者のワイルダー氏が推奨した14日(期間14)が広く使われています。
主な判断基準は以下のとおりです。
- RSI 70%以上:買われ過ぎ → 売りサインの可能性
- RSI 30%以下:売られ過ぎ → 買いサインの可能性
- RSI 50%ライン:50%を上回れば強気(上昇トレンド)、下回れば弱気(下降トレンド)の目安
設定型自動売買では「RSIが30%を下回ったらエントリー」といったシンプルな条件を設定できます。ただし、RSI単体では「だまし」が発生することもあるため、移動平均線やボリンジャーバンドと組み合わせて使うのが実践的です。
MACD:トレンドの方向性と勢いを同時に把握できる万能指標
MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、短期と長期の指数移動平均線の差を利用してトレンドの方向性と勢いを視覚化するテクニカル指標です。トレンド系とオシレーター系の両方の性質を持つ、非常に実用性の高い指標です。
MACDは通常、以下の3つの要素で構成されています。
- MACDライン:短期EMA(12期間)と長期EMA(26期間)の差
- シグナルライン:MACDラインの9期間EMA
- ヒストグラム:MACDラインとシグナルラインの差を棒グラフで表示
主な使い方は以下のとおりです。
- ゴールデンクロス:MACDラインがシグナルラインを下から上に突き抜けたとき → 買いサイン
- デッドクロス:MACDラインがシグナルラインを上から下に突き抜けたとき → 売りサイン
- ゼロラインクロス:MACDラインがゼロラインを上抜けると上昇トレンドの強まり、下抜けると下降トレンドの強まりとして判断
MACDはRSIとの相性も良く、「MACDでゴールデンクロスが発生し、かつRSIが50%未満(まだ買われ過ぎでない)」という複合条件を設定することで、シグナルの精度を高められます。
その他のよく使われる指標
上記4つ以外にも、設定型自動売買で活用できる主なテクニカル指標を紹介します。設定型自動売買のサービスによって使える指標は異なりますので、各サービスのスペックを確認しながら選んでください。
- ストキャスティクス:RSIと同様に売られ過ぎ・買われ過ぎを判断するオシレーター系指標。%Kと%Dの2本のラインを使い、80%以上で買われ過ぎ、20%以下で売られ過ぎとする
- 一目均衡表:基準線・転換線・雲など複数の要素からなる日本生まれのテクニカル指標。トレンドの方向性・強さ・サポートラインを総合的に判断できる
- パラボリック(SAR):上昇トレンド・下降トレンドの転換点を示すトレンド系指標。移動平均線より反応が早く、トレンドフォロー型の自動売買ロジックに向く
- ADX(平均方向性指数):トレンドの強さを数値化する指標。ADXが40以上なら強いトレンド、20以下なら弱いトレンド(レンジ相場)の目安とされる
注文方法とインディケーターの組み合わせ方のポイント

注文方法とテクニカル指標をそれぞれ理解したら、次はいよいよ「組み合わせ方」です。設定型自動売買でロジックを作る際、為替コヤジが特に意識しているポイントをいくつかご紹介します。
トレンド系とオシレーター系を必ず組み合わせる
テクニカル指標を使うとき、最も基本的な考え方はトレンド系とオシレーター系をセットで使うことです。移動平均線やボリンジャーバンドだけでは、横ばいのレンジ相場でだましシグナルが多発することがあります。そこにRSIやMACDなどのオシレーター系を組み合わせることで、精度を高めることができます。
代表的な組み合わせ例としては次のようなものがあります。
- 移動平均線 × RSI:ゴールデンクロスが発生しかつRSIが50%未満のときにロングエントリー
- ボリンジャーバンド × RSI:価格が−2σに接近しRSIが30%以下のとき(逆張り買いシグナルの確認)
- MACD × ボリンジャーバンド:MACDがゴールデンクロスしかつバンドがエクスパンションを始めたとき(トレンドフォロー)
相場環境に合わせた指標と注文方法を選ぶ
テクニカル指標は、相場がトレンド局面なのかレンジ局面なのかによって、有効なものが異なります。
- トレンド相場:移動平均線・MACD・パラボリックなどトレンド系指標が有効。トレール注文との相性も◎
- レンジ相場:ボリンジャーバンド(逆張り)・RSI・ストキャスティクスなどオシレーター系が有効。IFD注文でレンジ内の往来を狙う戦略が定番
設定型自動売買のロジック設計においては、まず「どんな相場環境で動かすのか」を決めてから、それに合った指標と注文方法の組み合わせを選ぶのが鉄則です。
経済指標のリリースタイミングには注意を
設定型自動売買を動かす上でもうひとつ忘れてはならないのが、経済指標(ファンダメンタルズ)との付き合い方です。米雇用統計・FOMC・消費者物価指数(CPI)などの重要な経済指標が発表されるタイミングは、相場が大きく動きシステムのロジックが機能しなくなることがあります。
テクニカル指標はあくまでも「過去の価格データ」をもとにした分析ツールであり、突発的なファンダメンタルズのイベントには対応できません。経済指標の重要性や、FX自動売買とファンダメンタルズとの付き合い方については、FXシストレ初心者でも覚えておきたい経済指標の記事をご覧ください。
まとめ:設定型自動売買は「注文方法」と「指標」の理解が成功のカギ

設定型自動売買は、自由度が高い分だけ「知識」が成果に直結する自動売買です。この記事でお伝えした内容を最後にまとめます。
- 設定型自動売買ではIFD・OCO・IFO・トレール注文の4つの注文方法が基本
- IFD注文は新規と決済をセットにして発注する最重要の注文方法
- OCO注文は利確と損切りを同時設定、IFO注文はその3つをまとめて設定できる万能注文
- トレール注文は利益を追いかけながら自動決済できる最強の決済方法
- テクニカル指標はトレンド系(移動平均線・ボリンジャーバンド・MACDなど)とオシレーター系(RSI・ストキャスティクスなど)を組み合わせるのが基本
- 相場環境(トレンド/レンジ)に合わせて指標と注文方法を使い分けることが重要
- 経済指標のリリースタイミングはシステムのロジックが機能しない場合があるため注意が必要
設定型自動売買は一度しっかりとロジックを作り込めば、あとはほったらかし運用が可能になります。最初のうちは複雑に感じるかもしれませんが、まずはIFD注文と移動平均線のシンプルな組み合わせから試してみてください。経験を重ねながら少しずつロジックを磨いていくのが、設定型自動売買で成果を出す近道だと私は考えています。
設定型自動売買の全体像については設定型自動売買ガイドを、リピート型や選択型との違いを整理したい方はFX自動売買の種類と特徴もあわせてお読みください。



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