投資の世界で古くから言われている格言のひとつに「卵はひとつの籠(カゴ)に盛るな」というものがあります。
一つのカゴに全ての卵を入れている場合、誤ってカゴを落とすと、全ての卵が割れてしまいます。
これに対し卵を複数のカゴに分けて入れている場合は一つのカゴを落としても、残りのカゴの卵は大丈夫。つまり、卵を分散してカゴに入れることで、リスク分散を行えるというわけです。
この考え方はFX自動売買においても同様です。FXには様々なリスクが潜んでおり、長期的に安定したFX自動売買を行うためには、これらのリスクをできるだけ分散することが大切です。
FXシストレに伴うリスク
まずはFX自動売買をする上で避けては通れないリスクについて理解しましょう。
為替変動リスク
外貨投資では、為替相場が予想に反して変動すると為替差損が発生するリスクがあります。
外国為替証拠金取引(FX)では、買いから取引をはじめた場合は円高に進んだ際に、売りから取引をはじめた場合は円安が進んだ際に為替差損が生じます。
なお、FX自動売買には損失を抑えるためにロスカットなどもありますが、急激な為替変動が起きた場合には、想定よりも大きな損失が発生するリスクがあります。
金利変動リスク
外国為替証拠金取引(FX)ではスワップポイントが付きますが、スワップポイントの水準は各通貨の金利に連動します。金利は各国の景気や政策などによって変動するため、スワップポイントの水準は随時見直されます。
また、一般的に金利の低い通貨を売って金利の高い通貨を買うお取り引きではスワップポイントが得られますが、金利水準が逆転すると、スワップポイントを負担(支払い)しなければならなくなることもあります。
流動性リスク
流動性の低い通貨は、マーケットの状況により、金融機関の営業時間内であってもレートの提示ができず、取引が困難になったり、不可能になる場合があります。
また、天変地変、戦争、政変、為替管理政策の変更、同盟罷業等の特殊な状況下で特定の通貨の取引が困難または不可能となる可能性があります。
レバレッジリスク
外国為替証拠金取引(FX)では、レバレッジにより預入証拠金より大きな額の取引ができますが、為替相場や金利が予想に反して変動した場合は、レバレッジの効果により、損失額が大きくなるリスクがあります。
信用リスク
金融機関の信用状況等が悪化することにより、FX取引が終了したり、証拠金の全部または一部が返還されない可能性があります。
システムリスク
インターネットを介した取引であるため、口座番号やパスワードなどの情報が漏えいした場合、第三者が悪用することによって損失が発生する可能性があります。
またシステム障害や通信障害などによって、取引できない場合があります。
税務リスク
税制がかわることで、税金を支払う負担が増える場合があります。
FX自動売買のリスク分散
上記のリスクを100%回避することはできませんが、リスクを分散させることでリスクを軽減することは可能です。ここでは具体的なリスク分散テクニックについて解説します。
1.通貨ペアによるリスク分散
通貨ペアによるリスク分散は、ひとつの通貨ペアに資金を集中させるのではなく、複数の通貨ペアに資金を分散させ、自動売買を行うことでリスクヘッジする方法です。
通貨ペアによるリスク分散は、特に為替変動リスク、金利変動リスクなどを抑えるのに効果的です。
複数の通貨ペアの組み合わせはできるだけ値動きの異なる通貨ペアを組み合わせることでリスク分散の効果が発揮されます。
値動きの異なる通貨ペアは通貨ペア間の相関係数を見ることで分かりますが、そこまで厳密に相関関係を知る必要はありません。過去5年くらいのチャートを重ね合わせて値動きが重ならなければ十分です。
例えばリピート型自動売買 で自動売買を行うのであればドル円とユーロ円で運用し、また選択型自動売買の場合には、ドル円を扱うストラテジーとユーロ円を扱うストラテジーを運用することでリスク分散することができます。
2.売買プログラムによるリスク分散
売買プグラムによる分散は、ひとつの売買プログラムに資金を集中させるのではなく、複数の売買プログラムに資金を分散させ、自動売買を行うことでリスクヘッジする方法です。
売買プログラムによるリスク分散は、特に為替変動リスク、金利変動リスクなどを抑えるのに効果的です。
選択型自動売買の売買プログラム(ストラテジー)には様々なタイプがあり、小さな利益を積み上げていくコツコツ型や取引回数は少ない一回の利益が大きい損小利大型などタイプの違う売買プログラムを組み合わせて運用することでリスク分散が図れます。
3.システムトレードによるリスク分散
システムトレードによるリスク分散は、ひとつのシステムトレードに資金を集中させるのではなく、複数のシステムトレードに資金を分散させ、自動売買を行うことでリスクヘッジする方法です。
システムトレードによるリスク分散は特に信用リスク、システムリスクを抑えるのに効果的です。
ひとつのシステムトレードで運用している場合にシステム障害が発生すると全滅してしまいますが、複数のシステムトレードで運用していればシステム障害による影響範囲を限定することができます。
システムトレードは5種類に分類することができます。それぞれの種類の中からひとつずつ選んで自動売買することでリスクヘッジすることができます。
4.時間によるリスク分散
時間によるリスク分散は、資金を一気に投入してシステムトレードを始めるのではなく、タイミングをずらしながら複数回に分けて資金を投入し、自動売買を行うことリスクヘッジする方法です。
例えば100万円あるのであれば20万円ずつ5回に分けて、少しずつ取引量、通貨ペア、あるいはストラテジー・EAを増やしていくことでリスク分散を図ることができます。
リスク分散のためには最低取引数量に注意
FX自動売買においてリスク分散を実現するためには1,000通貨単位でのFX取引が可能なシステムトレードを選びましょう。1,000通貨でFX取引ができれば、小口で複数通貨や複数のシステムトレードを運用することができます。
特に少額ユーザにとって最低取引数量が1,000通貨単位であることは絶対条件と言えます。
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