「トラリピで英ポンド/米ドルを運用してみたいです。どんな設定がいいですか?」
「英ポンド/米ドルは値動きが大きいと聞くけど、トラリピで大丈夫?」
本記事ではこんな悩みを解決します。
英ポンド/米ドル(GBP/USD)は「ケーブル」の愛称で知られる主要通貨ペアで、値動きが比較的大きく、トラリピでは決済の機会が多くなりやすい通貨ペアです。
私・為替コヤジは2020年9月から英ポンド/米ドルをハーフ&ハーフで運用し、2024年7月に損切りして運用を終えました。結果は通算でわずか約3万円のプラスです。約4年間の運用で積み上げた利益のほとんどを、最後の損切りで失った形になります。
本記事では、英ポンド/米ドルの最新の相場環境と片道トラリピの3条件による「今」の診断、そして過去の設定と実績から学んだ教訓を解説します。
- 英ポンド/米ドルの最新の値動きと金利環境(2026年10月時点)
- 片道トラリピの3条件で見た英ポンド/米ドルの「今」の評価
- 為替コヤジが運用していた英ポンド/米ドルのハーフ&ハーフ設定
- 約50万円の利益が、損切りでほぼ消えた経緯
- 英ポンド/米ドルの運用から学んだ3つの教訓
英ポンド/米ドルの特徴と最新の相場環境

まずは英ポンド/米ドルの基本的な特徴と、2026年10月時点の相場環境を整理しておきましょう。
英ポンド/米ドルは円が絡まない「ドルストレート」の通貨ペアです。主要通貨ペアの中では値動きが大きく、英国の政治や財政をめぐるニュースで急変動することがあるのが特徴です。
| 項目 | 内容(2026年10月初旬時点) |
|---|---|
| 現在のレート | 1.32ドル前後(対円レートから算出した概算) |
| 政策金利 | 英国(イングランド銀行):3.75% 米国(FRB):3.75~4.00% |
| スワップの向き | 金利差がほとんどなく、売り・買いともにスワップはほぼ期待できない |
| トラリピの最小取引単位 | 1,000通貨 |
※スワップポイントは日々変動します。最新の値は必ずマネースクエアの公式サイトでご確認ください。
2026年9月にFRBが利上げしたことで、米国の政策金利はイングランド銀行とほぼ同じ水準に並びました。そのため英ポンド/米ドルは、売りでも買いでも、まとまったスワップを受け取れない状態です。
英ポンド/米ドルの値動き|リーマンショック以降のレンジと2022年の急落

次に、英ポンド/米ドルの長期的な値動きを確認します。
旧設定はリーマンショック以降のレンジをもとに作っていましたが、運用中にそのレンジの下限を割り込む急落を経験しました。
旧設定の前提:リーマンショック以降は1.10~1.70ドルにほぼ収まっていた

英ポンド/米ドルは2008年のリーマンショック前に2.10ドル近辺の高値をつけていますが、これを含めるとレンジが広くなりすぎるため、リーマンショック以降の値動きをベースにしていました。
リーマンショック以降はおおむね1.10~1.70ドルのレンジに収まっていたため、中央値の1.40ドルを境に、下に買い、上に売りを仕掛けるハーフ&ハーフを採用していました。
2022年9月、レンジ下限を割り込む急落
2022年9月、英国政府が発表した大規模な減税策をきっかけに財政悪化への懸念が広がり、英ポンドは急落しました。英ポンド/米ドルは一時1.03ドル台と過去最安値を更新し、旧設定の買いレンジ下限(1.1010ドル)を大きく割り込みました。
その後は持ち直し、2026年10月初旬は1.32ドル前後と、旧設定で言えば買いレンジの中で推移しています。
片道トラリピの3条件で診断|英ポンド/米ドルは今、仕掛けるべきか

ここからは、片道トラリピに適した通貨ペアを選ぶ3つの条件で、今の英ポンド/米ドルを診断します。
英ポンド/米ドルは現在、スワップの向きがはっきりしないため、まず①の条件から確認します。
| 条件 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| ① プラススワップが大きい | × | 英米の政策金利がほぼ同水準で、どちらの方向でもまとまったスワップを受け取れない |
| ② レンジ相場を形成している | △ | リーマンショック以降は広いレンジで推移しているが、2022年に下限を割り込むなど値動きが大きい |
| ③ レートがレンジの端にある | × | 1.32ドル前後は長期レンジの中ほど |
診断結果をまとめると、今の英ポンド/米ドルは片道トラリピの候補にはならないというのが私の判断です。
片道トラリピは「スワップを受け取りながら反転を待てる」ことが最大の強みです。スワップがほとんど期待できない通貨ペアでは、その強みが活かせません。
英米の金利差が再び開き、どちらかの方向でまとまったスワップを受け取れるようになったら、改めて検討する価値があります。
現在の条件に合う通貨ペアは、下記の記事で紹介しています。
【過去の記録】為替コヤジの英ポンド/米ドル ハーフ&ハーフ設定

ここからは、私が以前運用していた英ポンド/米ドルのハーフ&ハーフ設定を記録として紹介します。
現在は運用しておらず、推奨設定ではありません。同じ失敗を避けるための参考としてご覧ください。
当時の設定内容
中央値1.40ドルを境に、下に買い、上に売りを仕掛けていました。中央値付近には「コアレンジ」を追加し、ベースレンジのトラップの間に交互に配置することで、重なる範囲は実質0.001ドル間隔になるようにしていました。
| 設定内容 | 買い | 売り |
|---|---|---|
| レンジ | ベース:1.1010~1.3990 コア:1.3020~1.4000 |
ベース:1.4010~1.6990 コア:1.4020~1.5000 |
| 注文金額 | 1,000通貨 | 1,000通貨 |
| トラップ本数 | ベース:150本 コア:50本 |
ベース:150本 コア:50本 |
| トラップ間隔 | 0.002ドル (コアと重なる範囲は実質0.001ドル) |
0.002ドル (コアと重なる範囲は実質0.001ドル) |
| 利益金額 | 10ドル | 10ドル |
| 決済トレール | あり | あり |
| ストップロス | なし | なし |
運用資金は300万円を想定していましたが、自作のExcelツールで計算したロスカットレートは、買いが1.1771ドル、売りが1.6053ドルでした。当初からレンジの端まで耐えられる資金はなく、運用を続けながらロスカットレートが広がるのを待つ計画でした。
約4年間の運用実績
英ポンド/米ドルは2020年9月に運用を始めました。2023年1月時点で新規注文を停止し、2024年7月に保有ポジションを損切りして運用を終えています。年ごとの売買損益は以下の通りです。
| 年 | 売買損益(スワップ除く) |
|---|---|
| 2020年(9月から運用開始) | +157,114円 |
| 2021年 | +325,149円 |
| 2022年 | +42,941円 |
| 2023年 | 0円(決済なし) |
| 2024年(7月に損切り) | -496,576円 |
| 合計 | +28,628円 |
運用開始から2021年までは値動きの大きさが追い風となり、約1年半で約48万円の決済益を出しました。
しかし2022年のドル高と英ポンド急落で、中央値(1.40ドル)より下の買いポジションが大量に積み上がります。2023年は新規注文を止めて決済のないまま保有を続け、最終的に2024年7月に約50万円の損切りをしました。通算では約3万円のプラスとかろうじてプラスを守ったものの、約4年間の運用の成果はほぼゼロという結果です。
トラリピ全体の運用実績は、下記の記事ですべて公開しています。
英ポンド/米ドルの運用から学んだ3つの教訓

英ポンド/米ドルの運用から学んだことを3つにまとめます。
値動きの大きい通貨ペアでトラリピを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
教訓1:最初からレンジの端まで耐えられる資金で始める
旧設定では、運用資金が足りず、最初からレンジの端まで耐えられない状態でスタートしていました。
「運用しながら利益でロスカットレートを広げていく」という計画は、相場が穏やかなときにしか成り立ちません。急落は「資金がそろうのを待ってくれない」ということを、2022年の英ポンド急落で痛感しました。
教訓2:値動きの大きさは「利益」と「リスク」の両方を大きくする
英ポンド/米ドルは値動きが大きいため、最初の1年半は決済益がよく積み上がりました。
しかし同じ値動きの大きさが、2022年には過去最安値を更新する急落となって表れました。決済が多い通貨ペアほど、急変動への備えも大きく必要になるということです。
教訓3:片道トラリピは「スワップの向き」がはっきりした通貨ペアで
現在の英ポンド/米ドルは英米の金利がほぼ同水準で、スワップの向きがはっきりしません。
片道トラリピは、スワップを受け取りながら反転を待てることが最大の強みです。金利差が小さい通貨ペアは、片道トラリピの候補から外すのが基本です。
これらの失敗とその対策は、下記の記事でさらに詳しくまとめています。
よくある質問

英ポンド/米ドルのトラリピについて、よくいただく質問にお答えします。
Q. 英ポンド/米ドルはトラリピに向いていますか?
値動きが大きく決済の機会は多いものの、レンジが広く、急変動も起こりやすいため、トラリピ初心者にはおすすめしません。また現在はスワップがほとんど期待できないため、片道トラリピの候補にもなりません。
Q. 英ポンド/円とはどう違いますか?
英ポンド/円は日英の金利差が大きく、買いで大きなスワップを受け取れます。一方、英ポンド/米ドルは英米の金利がほぼ同水準で、スワップはほとんど期待できません。同じ英ポンドの通貨ペアでも、組み合わせる通貨によって片道トラリピとの相性は大きく変わります。
Q. 過去の設定をそのまま使ってもいいですか?
おすすめしません。旧設定はハーフ&ハーフでストップロスもなく、当初からレンジの端まで耐えられる資金もない設定でした。片道トラリピの考え方で、条件のそろった通貨ペアを選んでください。
まとめ:英ポンド/米ドルは今、片道トラリピの候補外

本記事では、英ポンド/米ドルの最新の相場環境と、過去のハーフ&ハーフ設定とその結果を紹介しました。
要点を整理すると以下の通りです。
- 英ポンド/米ドルは値動きが大きく、2022年には過去最安値を更新する急落があった
- 現在は英米の金利がほぼ同水準で、スワップがほとんど期待できない
- 片道トラリピの3条件で見ると、今は候補にならない
- 旧設定は2020~2022年に約52万円の決済益を出したが、損切りでほぼ消え、通算約3万円のプラス
- 最初からレンジの端まで耐えられる資金で始めることが大切
トラリピは仕組みを正しく理解し、リスクを管理すれば、コツコツと利益を積み上げられる優れたツールです。
私の失敗を反面教師にして、ぜひ条件のそろった通貨ペアで、片道トラリピを無理なく始めてみてください。
為替コヤジが過去に運用していた全13通貨ペアの設定と、その結果は下記の記事にまとめています。









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