トラリピを運用するうえで欠かせないツールが「トラリピ運用試算表」です。ロスカットレートを確認するために使っている方は多いと思いますが、出力される10項目の意味を一つひとつ正しく説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか。
私、為替コヤジはトラリピを含むFX自動売買を14年以上運用してきましたが、過去には資金管理の甘さから大きな損失を出した経験もあります。だからこそ断言できますが、トラリピで長く勝ち続けるための第一歩は「運用試算表を正しく読めるようになること」です。
この記事では、2026年時点の最新仕様に合わせてトラリピ運用試算表の入力項目・出力項目の見方を徹底解説します。あわせて、必要証拠金のルール変更がロスカットレートに与える影響や、ロスカットレートを自分で計算する方法もわかりやすく紹介します。
- トラリピ運用試算表で何がわかるのか、どこから使えるのか
- 入力画面8項目の意味と正しい入力方法
- 出力画面10項目(発注証拠金・すべて成立時の証拠金・ロスカットなど)の正しい見方
- 必要証拠金が「レート連動型」であることがロスカットレートに与える影響
- ロスカットレートを自分で計算する方法(計算式と具体例)
- 複数通貨ペア・ハーフ&ハーフで運用するときの注意点
トラリピ運用試算表とは?リスクを「数字で見える化」する必須ツール

トラリピは「レンジ内で上下する値動き」から利益を積み上げる仕組みのため、相場がレンジから外れたときにどれだけの含み損を抱え、どこでロスカットになるのかを事前に把握しておくことが何より大切です。その確認作業を一瞬で終わらせてくれるのがトラリピ運用試算表です。まずはツールの概要と使える場所から確認しておきましょう。
トラリピ運用試算表でわかること
トラリピ運用試算表は、マネースクエアが口座開設者向けに提供している無料ツールです。通貨ペアやレンジ、トラップ本数などのトラリピ設定を入力するだけで、実際に運用した場合の必要資金や想定損失、ロスカットレートを自動計算してくれます。
マネースクエア公式サイトでも、想定される損失額や必要資金、ロスカットレートなどを試算できるツールとして紹介されており、試算結果として全10項目が算出されます。特にロスカットレートの確認には絶対に欠かせないツールです。
トラリピ運用試算表はどこから使える?
トラリピ運用試算表を使うには、マネースクエアの口座開設とログインが必要です。誰でも使える「CFDトラリピ運用試算表」とは別物なので、FXのトラリピを検討している方は間違えないよう注意してください。主なアクセス方法は以下のとおりです。
| 利用環境 | アクセス方法 |
|---|---|
| パソコン | ログイン後のマイページ、またはトレード画面のメニュー内「ツール」から起動 |
| スマホアプリ | アプリにログイン後、画面右下の「メニュー」からツール欄の「トラリピ運用試算表」を選択 |
※画面構成はアップデートで変わることがあります。見つからない場合はマネースクエアの公式サイトでご確認ください。
口座開設・口座維持は無料なので、「まだトラリピを始めるか迷っている」という段階でも、口座だけ作って運用試算表で設定を試してみる使い方はとてもおすすめです。
トラリピそのものの仕組みやメリット・デメリットを先に知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

トラリピ運用試算表の入力画面の見方(8項目)

ここからは入力画面の各項目を解説します。入力ミスがあると試算結果がまったく別物になってしまうため、特に「1本当たりの通貨量」と「利益の単位」は注意が必要です。最初に、運用したい通貨ペアが「対円通貨」か「対米ドル等通貨」かを選び、続けて「買い(新規買い)」か「売り(新規売り)」かを選択します。
対円通貨用の入力画面

対米ドル等通貨用の入力画面

トラリピの取扱通貨ペアは2026年時点で18通貨ペアです。2024年9月にノルウェークローネ/スウェーデンクローナ、2025年9月に米ドル/シンガポールドルが追加されたため、昔の記事に載っている分類は古くなっている点に注意してください。
| 区分 | 該当する通貨ペア |
|---|---|
| 対円通貨(9通貨ペア) | 米ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、NZドル/円、カナダドル/円、英ポンド/円、トルコリラ/円、南アフリカランド/円、メキシコペソ/円 ※ |
| 対米ドル等通貨(9通貨ペア) | ユーロ/米ドル、ユーロ/英ポンド、豪ドル/米ドル、豪ドル/NZドル、NZドル/米ドル、英ポンド/米ドル、米ドル/カナダドル、米ドル/シンガポールドル、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナ |
※円が絡む通貨ペアは対円通貨、円が絡まない通貨ペアは対米ドル等通貨を選ぶと覚えておけば迷いません。
入力項目は対円通貨用で7項目、対米ドル等通貨用は「現在のドル円レート」が加わって8項目です。まずは一覧で全体像をつかんでおきましょう。
| 入力項目 | 入力する内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 通貨ペアは? | 取引したい通貨ペア | 対円・対米ドル等の区分を先に選ぶ |
| 運用予定額は? | 運用資金(円) | 口座に入金する予定額を入力 |
| 仕掛けるレンジ幅は? | レンジの下限と上限 | 損失方向は厚めに |
| レンジ内に仕掛ける本数は? | トラップ本数 | 1回の発注は最大99本 |
| 1本当たり何通貨? | トラップ1本の数量 | 単位は「万通貨」 |
| 1回のリピートでねらう利益は? | 1回の決済で狙う利益額 | 値幅ではなく金額で入力 |
| ストップロス設定は? | ストップロスのレート | 設定する場合のみ |
| 現在のドル円レートは? | 米ドル/円のレート | 対米ドル等通貨のみ |
通貨ペアは?
取引したい通貨ペアをプルダウンから選択します。対円通貨を選んでいるときは対円の通貨ペアのみ、対米ドル等通貨を選んでいるときは円が絡まない通貨ペアのみが表示されます。
運用予定額は?
運用資金を円で入力します。ここで入力した金額が、試算上の「有効証拠金」のスタート地点になります。実際の口座残高ではなく「このトラリピに割り当てる資金」を入力するのがポイントです。複数のトラリピを動かしている場合、口座残高をそのまま入れるとロスカットレートを実際より楽観的に見積もってしまいます。
資金の目安がわからない方は、以下の記事で考え方を詳しく解説しています。

仕掛けるレンジ幅は?
トラップを仕掛けるレンジの下限と上限を入力します。買いトラリピなら下落方向、売りトラリピなら上昇方向が損失リスクの方向になるため、マネースクエアも損失方向のレンジを厚めにとることを基本的なリスク管理方法として推奨しています。
レンジ内に仕掛ける本数は?
レンジ内に仕掛けるトラップの本数を入力します。トラリピは1回の発注で最大99本まで注文を出せますが、本数を増やすほど総発注量が膨らみ、必要資金も増えます。「注文数量×トラップ本数=総発注量」になることを常に意識しておきましょう。
1本当たり何通貨?
トラップ1本当たりの数量を入力します。単位は「万通貨」なので、1,000通貨で取引したい場合は「0.1」と入力します。ここを「1000」と入力してしまうと1,000万通貨の計算になってしまうので要注意です。
なお、トラリピの最小取引単位は多くの通貨ペアで1,000通貨ですが、南アフリカランド/円、メキシコペソ/円、ノルウェークローネ/スウェーデンクローナは1万通貨からとなっています。
1回のリピートでねらう利益は?
1回の決済で狙う利益を、対円通貨なら円、対米ドル等通貨ならドルで入力します。値幅(pipsや銭)で入力する項目ではない点に注意してください。
値幅から換算する場合は「利益額=利益値幅×1本当たりの通貨量」で計算します。たとえば米ドル/円で利益値幅を50銭(0.5円)、1本1,000通貨にしたい場合は、0.5円×1,000通貨=500円と入力します。
ストップロス設定は?
ストップロス(損切り)を入れる場合は「設定する」にチェックを入れ、ストップロスのレートを入力します。設定した場合のみ、出力画面に「ストップロス損失額」が表示されます。
現在のドル円レートは?
対米ドル等通貨の場合だけ表示される項目です。損益や必要証拠金を日本円に換算するために使います。「レート取得」ボタンを押すと、現在の米ドル/円のレートが自動入力されます。
ここで注意したいのは、試算結果は入力した時点のドル円レートで固定して計算されるという点です。実際にはドル円レートも変動するため、円高が進むと円換算の損失額や必要証拠金も変わります。対米ドル等通貨を運用する方は、ドル円レートを少し円高・円安に振って何パターンか試算しておくと安心です。
トラリピ運用試算表の出力画面の見方(10項目)

入力を終えて「計算スタート」を押すと、10項目の試算結果が表示されます。ここが運用試算表の本丸です。マネースクエア公式サイトによると、2026年時点の出力項目は以下の10項目です。以前の試算表にあった「実質レバレッジ」はなくなり、代わりに「発注証拠金」と「すべて成立時の証拠金」が分けて表示されるようになっています。

| No. | 出力項目 | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 1 | ポジションの平均価格 | 全トラップの平均レート |
| 2 | ポジションの合計 | 全トラップの合計数量 |
| 3 | トラップ値幅 | 注文同士の間隔 |
| 4 | 発注証拠金 | 発注した時点で拘束される証拠金 |
| 5 | すべて成立時の証拠金 | 全トラップ約定時の必要証拠金 |
| 6 | すべて成立時の評価損 | レンジ端まで動いたときの含み損 |
| 7 | 必要資金の合計 | 証拠金+含み損をまかなう最低資金 |
| 8 | すべて成立時の維持率 | レンジ端での証拠金維持率 |
| 9 | ストップロス損失額 | 損切り時に確定する損失 |
| 10 | ロスカット | 強制ロスカットになるレート |
ここからは、各項目を具体例を交えて解説します。説明には以下の設定例を使います。
【設定例】米ドル/円・買いトラリピ
運用予定額:100万円/レンジ:130円〜150円/本数:21本/1本当たり:0.1万通貨(1,000通貨)/利益:500円
※以下の数値は為替コヤジが計算式から算出した概算です。スプレッドやスワップポイントは考慮していないため、実際の試算表の表示とは若干異なる場合があります。
①ポジションの平均価格
入力したプランのすべてのトラップが約定した場合の平均価格です。トラリピはトラップが等間隔に並ぶため、「(レンジ上限+レンジ下限)÷2」で求められます。
設定例では(150円+130円)÷2=140円となります。
②ポジションの合計
入力したプランのポジション量の合計です。「1本当たりの通貨量×トラップ本数」で計算します。
設定例では1,000通貨×21本=21,000通貨(2.1万通貨)です。
③トラップ値幅
各新規注文同士の間隔です。「(レンジ上限-レンジ下限)÷(トラップ本数-1)」で計算します。本数から1を引くのは、レンジの両端にもトラップが置かれるためです。
設定例では(150円-130円)÷(21本-1)=1.00円となります。トラップ値幅が利益値幅(設定例では0.5円)より広いか狭いかで、利益の出やすさや資金効率が変わってきます。
④発注証拠金
トラリピを発注した時点で拘束される証拠金です。トラリピは未約定の注文にも証拠金がかかるため、まだポジションを持っていなくても、発注した瞬間にこの金額分の資金が拘束されます。
個人口座の証拠金率は取引総代金の4%(レバレッジ25倍)なので、各トラップの「注文レート×数量×4%」を合計した金額になります。等間隔なので「平均価格×ポジションの合計×4%」でも同じ結果になります。
設定例では140円×21,000通貨×4%=117,600円です。
⑤すべて成立時の証拠金
すべてのトラップが約定し、相場がレンジの端(買いなら下限、売りなら上限)に到達したときの必要証拠金です。後ほど詳しく説明しますが、マネースクエアの必要証拠金は保有後も「その時点のレート」で計算し直されるため、発注証拠金とは金額が異なります。
設定例では、下限の130円で計算するため130円×21,000通貨×4%=109,200円です。買いトラリピでは、レートが下がるほど必要証拠金は少なくなります。
⑥すべて成立時の評価損
すべてのトラップが約定し、レートがレンジの端まで動いたときの含み損の合計です。買いトラリピならレンジ下限、売りトラリピならレンジ上限に到達した時点の評価損を表しています。
設定例では、150円で買ったポジションは20円、149円のポジションは19円……130円のポジションは0円の含み損になるので、(20+19+……+1+0)円×1,000通貨=210,000円の評価損となります。
⑦必要資金の合計
必要証拠金に「すべて成立時の評価損」を加えた金額で、レンジの端まで相場が動いてもロスカットされないために最低限必要な資金の目安です。
設定例では、すべて成立時の証拠金109,200円+評価損210,000円=約32万円が目安になります。ただし、この金額ちょうどで運用すると、レンジの端に到達した瞬間にロスカットされる計算です。実際の運用では、必要資金の合計を大きく上回る資金を入れておくのが鉄則です。
⑧すべて成立時の維持率
すべてのトラップが約定し、レートがレンジの端に到達したときの証拠金維持率です。証拠金維持率は以下の計算式で求めます。
証拠金維持率(%)=有効証拠金÷必要証拠金×100
有効証拠金とは、運用資金に評価損益などを加減した「口座の時価」です。評価益が出れば増え、評価損が出れば減ります。
設定例では、有効証拠金が100万円-21万円=79万円、必要証拠金が109,200円なので、79万円÷109,200円×100=約723%となります。
マネースクエアでは、証拠金維持率が150%未満と120%未満になったときにアラートメールが届き、100%未満でロスカットとなります。レンジの端に到達しても維持率に十分な余裕があるかを、この項目でチェックしておきましょう。
⑨ストップロス損失額
ストップロスが成立したときに確定する損失額です。入力画面でストップロスを設定した場合のみ表示されます。ストップロスを置く場合は、この損失額が自分にとって許容できる金額かどうかを必ず確認してください。
⑩ロスカット
証拠金維持率が100%に到達するレートです。トラリピは証拠金維持率が100%を「下回った」時点でロスカットとなるため、厳密には表示されたレートからわずかでも損失方向に動いた時点で強制決済されます。
なお、ロスカットは損失の限定を保証するものではありません。証拠金維持率の判定は一定間隔で行われており、相場が急変した場合は表示されたロスカットレートよりも不利なレートで決済され、損失が膨らむ可能性がある点も覚えておきましょう。
この「ロスカット」こそが運用試算表で一番重要な数字です。私は、ロスカットレートが過去数十年の最安値(売りなら最高値)よりも十分に外側にあるかを必ず確認してから発注するようにしています。
必要証拠金は「レート連動型」!ロスカットレートへの影響を理解しよう

運用試算表を正しく読むうえで避けて通れないのが、必要証拠金の計算ルールです。Excelなどで自作した計算表と運用試算表の結果が合わない、とモヤモヤしたことがある方は、この仕組みが原因かもしれません。ここでは2019年のルール変更の内容と、買い・売りそれぞれへの影響を解説します。
2019年5月26日のルール変更で必要証拠金が「変動制」に
マネースクエアは2019年5月26日に取引システムを刷新し、それにあわせて取引ルールを変更しました。その中で必要証拠金は「約定時のレートで固定」から「リアルタイムのレートで変動」に変わりました。
具体例で見てみましょう。1万米ドルを100円で買った場合、必要証拠金は100円×1万通貨×4%=40,000円です。旧ルールでは、その後レートがいくら動いても40,000円のままでした。
新ルールでは、米ドル/円が120円に上昇すると必要証拠金は48,000円に増え、反対に80円まで下落すると32,000円に減ります。レート1円の変動につき、1万通貨あたり400円ずつ必要証拠金が増減するイメージです。

買いトラリピは有利、売りトラリピは不利に
このルールでは、レートが高いほど必要証拠金が増え、低いほど減ります。そのため、レートが下がるほど損失が膨らむ買いポジションは、同時に必要証拠金が減るのでロスカットレートが有利(遠く)になります。反対に、レートが上がるほど損失が膨らむ売りポジションは、同時に必要証拠金も増えるのでロスカットレートが不利(近く)になります。
資金100万円、米ドル/円100円で5万ドルを保有した場合のロスカットレートを、旧ルールと新ルールで比較すると以下のようになります(スプレッド・スワップは考慮していません)。
| ポジション | 旧ルール(固定) | 新ルール(変動) | 影響 |
|---|---|---|---|
| 買い | 84.00円 | 約83.33円 | 約0.67円遠くなる(有利) |
| 売り | 116.00円 | 約115.38円 | 約0.62円近くなる(不利) |

差は1円未満ですが、ポジション量が大きいほど、また相場が大きく動くほどこの差は広がります。特に売りトラリピやハーフ&ハーフの売り側は、自作の計算表だとロスカットレートを楽観的に見積もりがちなので注意しましょう。
現在の運用試算表は「発注証拠金」と「すべて成立時の証拠金」を分けて表示しており、この変動ルールを踏まえた試算結果を確認できるようになっています。
ロスカットレートは自分でも計算できる!計算式と具体例

以前は「必要証拠金がレートで変わるので、ロスカットレートはプログラムで少しずつレートを動かして探すしかない」と言われていました。実は私自身も旧記事でそう書いていました。しかし、1つの通貨ペア・1つのトラリピであれば、簡単な一次方程式でロスカットレートを求めることができます。運用試算表の結果を検算したいときや、Excelで資金管理をしたい方は参考にしてください。
買いトラリピのロスカットレート計算式
すべてのトラップが約定した後(レンジ下限より下)で考えます。ロスカットレートをX、レンジ下限をL、ポジションの合計をQ、レンジ下限到達時の有効証拠金をEとすると、「有効証拠金=必要証拠金」となるXは以下の式で求められます。
X=(Q×L-E)÷(Q×0.96)
※E=運用資金-すべて成立時の評価損/0.96=1-証拠金率4%
先ほどの設定例(米ドル/円・130〜150円・21本・1,000通貨・資金100万円)に当てはめると、以下のとおりです。
- Q=21,000通貨、L=130円、E=100万円-21万円=79万円
- X=(21,000×130-790,000)÷(21,000×0.96)=1,940,000÷20,160=約96.23円
つまりこの設定では、米ドル/円が約96.23円を下回るとロスカットになる計算です。
売りトラリピのロスカットレート計算式
売りトラリピの場合は、すべてのトラップが約定した後(レンジ上限より上)で考えます。レンジ上限をUとすると、以下の式になります。
X=(E+Q×U)÷(Q×1.04)
※E=運用資金-すべて成立時の評価損/1.04=1+証拠金率4%
買いの式は分母が「0.96」、売りの式は分母が「1.04」になっている点に注目してください。これが「必要証拠金の変動ルールは買いに有利、売りに不利」と言われる理由そのものです。
手計算・自作Excelの限界
この計算式はあくまで「1通貨ペア・1つのトラリピ」で、スプレッドやスワップポイントを考慮しない場合の目安です。以下のようなケースでは計算が一気に複雑になるため、運用試算表やマネースクエアのリスクシミュレーション機能を使うのが確実です。
- 対米ドル等通貨で、ドル円レートの変動も考慮したい場合
- レンジの途中(一部のトラップだけ約定している状態)でロスカットレートを知りたい場合
- 複数の通貨ペアや買い・売りを同時に運用している場合
トラリピ運用試算表を使うときの4つの注意点

運用試算表はとても便利なツールですが、万能ではありません。試算表の「前提条件」を理解せずに数字だけを信じてしまうと、思わぬところでロスカットされる危険があります。ここでは、14年以上リピート系自動売買を運用してきた私が特に注意してほしいポイントを4つ紹介します。
注意点1:1回の試算は「1つのトラリピ」だけが対象
運用試算表は、入力した1つのプランだけを対象に計算します。しかし実際のロスカット判定は、口座内のすべてのポジションと注文をまとめて行われます。複数のトラリピを運用している場合、試算表のロスカットレートをそのまま信じるのは危険です。
複数通貨ペアや複数の注文をまとめてリスクを確認したい場合は、トラリピのトレード画面にある「リスクシミュレーション」機能を使いましょう。2025年2月からはスマホアプリでも利用できるようになり、より手軽に口座全体のリスクを確認できるようになっています。
注意点2:ハーフ&ハーフは買いと売りを別々に試算する
レンジの上半分に売り、下半分に買いを仕掛けるハーフ&ハーフ戦略では、運用試算表を買い・売りそれぞれで使い、どちらの方向にも十分な余裕があるかを確認する必要があります。運用資金をそれぞれにどう割り振るかも重要なポイントです。ハーフ&ハーフの考え方は以下の記事で詳しく解説しています。

注意点3:スワップポイントとスプレッドは考慮されない
運用試算表の計算には、スワップポイントやスプレッドは含まれていません。マイナススワップの通貨ペアを長期間保有すると、その分だけ有効証拠金が減り、ロスカットレートは徐々に近づいていきます。特にマイナススワップの方向でトラリピを運用している方は、定期的に試算し直すことをおすすめします。
スワップの扱いについては、以下の記事も参考になります。

注意点4:ロスカットは「判定のタイミング」と「急変動」に注意
証拠金維持率の判定は一定間隔で行われ、ロスカットは成行で執行されます。そのため、スイスフランショックのような急変動が起きた場合、ロスカットレートよりも大きく不利なレートで決済され、最悪の場合は預けた資金以上の損失(不足金)が発生する可能性もあります。試算表のロスカットレートは「ギリギリのライン」ではなく「絶対に近づけてはいけないライン」と考えましょう。
FX自動売買全般のリスクについては、以下の記事でまとめています。

為替コヤジ流!運用試算表を使ったトラリピ設定の作り方

運用試算表の見方がわかったら、いよいよ実際の設定づくりに活かしていきましょう。ここでは、私が新しいトラリピを仕掛けるときに実際に行っている手順を紹介します。難しいことはしていませんが、この手順を守るだけでロスカットのリスクを大きく下げることができます。
ステップ1:過去の高値・安値からレンジを決める
まずはチャートで、運用したい通貨ペアの過去10年〜20年程度の高値と安値を確認します。そのうえで「どこからどこまでトラップを仕掛けるか」と「どこまで耐えられれば安心か」を決めます。
ステップ2:ロスカットレートが過去の最安値(最高値)より外側になるよう調整
運用試算表に設定を入力し、ロスカットレートを確認します。買いトラリピなら過去の最安値より下、売りトラリピなら過去の最高値より上にロスカットレートが来るまで、本数を減らす・1本当たりの通貨量を減らす・運用資金を増やすのいずれかで調整します。
ステップ3:「すべて成立時の評価損」が精神的に耐えられる金額か確認
ロスカットされない設定でも、含み損が膨らむと精神的に耐えられなくなり、最悪のタイミングで手動決済してしまう方が少なくありません。私自身も過去にそれで大きな損失を出しました。「すべて成立時の評価損」を見て、この含み損でも平常心でいられるかを自問することも大切です。
資金管理の考え方は以下の記事で体系的にまとめています。

また、トラリピで運用しやすい通貨ペアや、片側だけ仕掛けてリスクを抑える戦略については以下の記事もおすすめです。

トライオートFXなど他のFX自動売買との比較もおすすめ

トラリピは運用試算表やリスクシミュレーションなどのツールが充実しており、リスク管理をしっかり行いたい方にぴったりのFX自動売買です。一方で、FX自動売買にはほかにもさまざまなサービスがあり、自分のスタイルに合ったものを選ぶことも大切です。ここでは、トラリピとあわせて検討したいサービスを紹介します。
トラリピがおすすめな人
トラリピは「レンジを自分で決めて、リスクを数字で管理しながらじっくり運用したい」という方におすすめです。運用試算表を使えば、発注前にロスカットレートや必要資金を確認できるので、リスクを把握したうえで安心して運用をスタートできます。2026年2月からはJALのマイルがたまるプログラムも始まり、運用の楽しみも広がっています。
トライオートFXがおすすめな人
「設定を自分で考えるのは難しそう」という方には、インヴァスト証券のトライオートFXもおすすめです。自動売買セレクトから既存の自動売買プログラムを選ぶだけで始められ、慣れてきたらビルダー機能でトラリピのようなリピート注文を自分で作ることもできます。私もコアレンジャーを運用しています。
トラリピとトライオートFXの違いをもっと詳しく知りたい方は、以下の比較記事をご覧ください。

トライオートFXの必要資金については、以下の記事で資金別にシミュレーションしています。

そのほかのリピート系自動売買も含めて比較したい方は、こちらの記事やランキングも参考にしてください。


まとめ:運用試算表を使いこなしてトラリピで長く勝ち続けよう

最後に、この記事のポイントを振り返っておきましょう。トラリピ運用試算表は、トラリピのリスクを発注前に数字で確認できる、まさに「転ばぬ先の杖」です。
- トラリピ運用試算表はマネースクエアの口座開設者なら無料で使える
- 入力時は「1本当たり何通貨?」の単位(万通貨)と「利益は金額で入力」に注意
- 出力10項目の中で最も重要なのは「ロスカット」と「すべて成立時の評価損」
- 必要証拠金はレート連動型のため、買いトラリピは有利、売りトラリピは不利になる
- 1通貨ペア・1トラリピならロスカットレートは計算式で検算できる
- 複数のトラリピを運用するならリスクシミュレーション機能で口座全体を確認する
自作のExcelで管理していて「なぜか運用試算表の結果と合わない」とモヤモヤしていた方は、その原因の多くが「必要証拠金がレートによって変動する」というルールにあります。運用試算表を正しく読めるようになれば、トラリピは「なんとなく怖い投資」から「リスクをコントロールできる投資」に変わります。
まだ口座を持っていない方は、まずは無料で口座を開設して、運用試算表でいろいろな設定を試してみてください。実際に数字を動かしてみることが、トラリピ上達のいちばんの近道です。
FX自動売買をこれから始める方は、以下の記事から読み進めると全体像がつかみやすいですよ。





コメント