「トラリピを始めるなら、なじみのある米ドル/円がいいのかな?」
「米ドル/円のハーフ&ハーフで、売りの含み損が膨らんでしまった…。どうすればいい?」
本記事ではこんな悩みを解決します。
米ドル/円(USD/JPY)は日本人にとって最もなじみのある通貨ペアで、トラリピでも人気があります。
私・為替コヤジも2012年から米ドル/円のトラリピを運用してきましたが、2022年以降の歴史的な円安で売りポジションがレンジを大きく外れ、通算で約335万円のマイナスという、13通貨ペアの中で最も大きな損失を出しています。
本記事では、米ドル/円の最新の相場環境と、片道トラリピの3条件による「今」の診断、そして過去の設定とその結果から学んだ教訓を包み隠さず解説します。
- 米ドル/円の最新の値動きとスワップポイント(2026年10月時点)
- 片道トラリピの3条件で見た米ドル/円の「今」の評価
- 為替コヤジが運用していた米ドル/円のハーフ&ハーフ設定
- 旧設定が約335万円のマイナスになった経緯
- 米ドル/円のトラリピから学んだ4つの教訓
米ドル/円の特徴と最新の相場環境

まずは米ドル/円の基本的な特徴と、2026年10月時点の相場環境を整理しておきましょう。
米ドル/円は取引量が多く、ニュースや情報も手に入りやすいため、初心者でも値動きの背景を理解しやすい通貨ペアです。一方で、日米の金融政策の影響を強く受け、一方向のトレンドが何年も続くことがある点には注意が必要です。
| 項目 | 内容(2026年10月初旬時点) |
|---|---|
| 現在のレート | 158円前後 |
| トラリピのスワップ(1万通貨・1日あたり) | 買い:+73円/売り:-161円(2026年9月下旬) |
| 政策金利 | 米国(FRB):3.75~4.00% 日本(日銀):1.25%程度 |
| トラリピの最小取引単位 | 1,000通貨 |
| スワップがプラスの方向 | 買い |
※スワップポイントは日々変動します。最新の値は必ずマネースクエアの公式サイトでご確認ください。
2026年9月には日銀が政策金利を31年ぶりの水準となる1.25%程度へ引き上げましたが、同じ月にFRBも利上げしたため、日米の金利差は依然として大きいままです。
そのため米ドル/円は、買いならスワップを受け取れる一方、売りは1万通貨あたり1日160円前後のスワップを支払う状態が続いています。
米ドル/円の値動き|「75円~125円のレンジ」はなぜ崩れたのか

次に、米ドル/円の長期的な値動きを確認します。
私の旧設定は「過去20年のレンジに収まる」という前提で作っていましたが、その前提は大きく崩れました。何が起きたのかを振り返っておきましょう。
旧設定の前提:過去20年は75円~125円にほぼ収まっていた

旧設定を作った当時、米ドル/円の過去20年の月足チャートは75円~125円のレンジにほぼ収まっていました。
そこで中央値の100円を境に、下に買い、上に売りを25円ずつ仕掛けるハーフ&ハーフを採用していました。
2022年以降の円安で125円を大きく突破
ところが2022年、米国が急速な利上げを進める一方で日本は金融緩和を続けたため、日米の金利差が急拡大し、米ドル/円は125円を突破しました。
その後も円安は止まらず、2024年には160円台に到達しています。2026年に入ってからも円安基調は続き、7月には約40年ぶりの高値となる162円台後半まで上昇しました。
10月初旬時点でも158円前後と、旧設定の売りレンジ上限(124.90円)を30円以上も上回る水準で推移しています。

「過去20年のレンジ」は、決して将来のレンジを保証してくれるものではありませんでした。米ドル/円は、そのことを最も痛い形で教えてくれた通貨ペアです。
片道トラリピの3条件で診断|米ドル/円は今、仕掛けるべきか

ここからは、片道トラリピに適した通貨ペアを選ぶ3つの条件で、今の米ドル/円を診断します。
米ドル/円でスワップがプラスになるのは「買い」なので、買いの片道トラリピとして評価します。
| 条件 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| ① プラススワップが大きい | ○ | 買いで1万通貨あたり1日+73円。日米の金利差が大きい状態が続いている |
| ② レンジ相場を形成している | △ | 長期的には円安トレンドが続いており、明確なレンジとは言いにくい。日銀の利上げが進めば流れが変わる可能性もある |
| ③ レートがレンジの端にある | × | 158円前後は過去数十年で見ても高値圏。買いに適した底値付近ではない |
診断結果をまとめると、スワップの条件は満たすものの、今の米ドル/円は片道トラリピの候補としては見送りというのが私の判断です。
買いの片道トラリピは底値付近から始めるのが基本です。歴史的な高値圏にある今から買いを仕掛けると、日銀の利上げなどをきっかけに円高に振れたとき、大きな含み損を抱えるおそれがあります。
もちろん、売りの片道トラリピはスワップがマイナスなので論外です。
米ドル/円以外で、現在の条件に合う通貨ペアは下記の記事で紹介しています。
【過去の記録】為替コヤジの米ドル/円 ハーフ&ハーフ設定

ここからは、私が以前運用していた米ドル/円のハーフ&ハーフ設定を記録として紹介します。
現在は新規注文を停止しており、推奨設定ではありません。同じ失敗を避けるための参考としてご覧ください。
当時の設定内容
過去20年の中央値100円を境に、下に買い、上に売りを仕掛けていました。2021年からは中央値付近に「コアレンジ」を追加し、ベースレンジのトラップの間に交互に配置することで、重なる範囲は実質0.1円間隔になるようにしていました。
| 設定内容 | 買い | 売り |
|---|---|---|
| レンジ | ベース:75.10~99.90 コア:90.20~100.00 |
ベース:100.10~124.90 コア:100.20~110.00 |
| 注文金額 | 1,000通貨 | 1,000通貨 |
| トラップ本数 | ベース:125本 コア:50本 |
ベース:125本 コア:50本 |
| トラップ間隔 | 0.2円 (コアと重なる範囲は実質0.1円) |
0.2円 (コアと重なる範囲は実質0.1円) |
| 利益金額 | 1,000円 | 1,000円 |
| 決済トレール | あり | あり |
| ストップロス | なし | なし |
ベースレンジのみの時点では運用資金195万円を想定し、トラリピ運用試算表で計算したロスカットレートは、買いが74.90円、売りが123.17円でした。
つまり単独の資金計画では、125円を超える円安には耐えられない設定だったことになります。実際には口座全体の資金で耐えていましたが、それが損切りの判断を遅らせる原因にもなりました。
旧設定のその後
2022年に125円を突破したことを受け、3月に新規注文を停止しました。ただしストップロスを設定していなかったため、売りポジションは含み損を抱えたまま残り続けました。
その後、2025年4月から段階的に損切りを始め、2026年に入ってからもロスカットによる整理を続けています。年ごとの売買損益は以下の通りです。
| 期間 | 売買損益(スワップ除く) |
|---|---|
| 2012年~2022年 | +638,778円 |
| 2023年~2024年 | 0円(決済なし) |
| 2025年(4月・11月に損切り) | -1,728,931円 |
| 2026年1月~8月 | -2,259,843円 |
| 合計 | -3,349,996円 |
10年かけて積み上げた約64万円の利益は、損切りによってその5倍以上の損失で消えてしまいました。しかもこの数字にはスワップの支払いは含まれていません。
トラリピ全体の運用実績は、下記の記事ですべて公開しています。
米ドル/円のトラリピから学んだ4つの教訓

米ドル/円の失敗から学んだことを4つにまとめます。
いずれも米ドル/円に限らず、すべてのトラリピに当てはまる教訓です。これから始める方も、ハーフ&ハーフで運用中の方も、ぜひ自分の設定と照らし合わせてみてください。
教訓1:過去20年のレンジは将来を保証しない
「75円~125円」というレンジは、20年という長い期間のデータに基づいていたため、私は十分に信頼できると考えていました。
しかし金融政策の大きな転換があれば、長期のレンジでもあっさりと抜けてしまいます。レンジは「目安」であり、抜けたときの出口を必ず用意しておく必要があります。
教訓2:マイナススワップの売りポジションは時間とともに傷口を広げる
米ドル/円の売りは、現在の水準で1万通貨あたり1日約160円のスワップを支払います。
仮にベースレンジの売り125本(12.5万通貨)をすべて保有していると、1日約2,000円、1年で約73万円の支払いになる計算です。含み損が減らないまま、スワップの支払いだけが積み上がっていくのが、ハーフ&ハーフの最も怖いところです。
教訓3:「ロスカットしない」方針は塩漬けにつながる
ストップロスを入れていなかったため、新規注文を止めてから損切りを始めるまでに3年以上かかりました。
その間も相場は戻らず、結局は円安がさらに進んだ水準で損切りすることになりました。今の私は、トラリピでもストップロスで出口を決めておくことをおすすめしています。
教訓4:クロス円ばかりでは分散にならない
米ドル/円以外にもユーロ/円や豪ドル/円などのクロス円を運用していましたが、2022年の円安ではすべてが同じ方向に動きました。
通貨ペアの数を増やしても、「円」という共通の通貨に偏っていれば、リスクは分散されないということを痛感しました。
これらの失敗とその対策は、下記の記事でさらに詳しくまとめています。
よくある質問

米ドル/円のトラリピについて、よくいただく質問にお答えします。
Q. 米ドル/円のトラリピはもうおすすめしないのですか?
通貨ペアそのものを否定しているわけではありません。ただし現在は歴史的な高値圏にあり、買いの片道トラリピを始めるタイミングではないと考えています。日銀の利上げなどで円高が進み、レンジの底と言える水準まで下がってきたら、改めて検討する価値はあります。
Q. 米ドル/円のハーフ&ハーフで売りの含み損を抱えています。どうすればいいですか?
判断はご自身の資金状況によりますが、まずは新規の売り注文を止めることと、どこまで円安が進んだら損切りするかを決めることをおすすめします。売りポジションはマイナススワップがかかり続けるため、「いつか戻るまで待つ」場合も、そのコストを把握しておくことが大切です。
Q. 旧設定のロスカットレートが123.17円なのに、なぜロスカットされなかったのですか?
123.17円は米ドル/円単独で195万円を想定した場合の数値です。実際の口座には他の通貨ペアの資金も含めて預けていたため、口座全体の資金で耐えていました。結果的にロスカットを先延ばしにできた一方で、損失を大きくする原因にもなりました。
まとめ:米ドル/円は「過去のレンジを信じすぎない」ことの教訓

本記事では、米ドル/円の最新の相場環境と、過去のハーフ&ハーフ設定とその結果を紹介しました。
要点を整理すると以下の通りです。
- 米ドル/円は買いでスワップを受け取れるが、現在は歴史的な高値圏
- 片道トラリピの3条件で見ると、今は新規エントリーを見送る局面
- 旧設定は「75円~125円」の前提が崩れ、通算約335万円のマイナス
- マイナススワップの売りポジションとストップロスなしの運用が損失を広げた
- これから始めるなら、条件のそろった通貨ペアで片道トラリピを検討する
トラリピは仕組みを正しく理解し、リスクを管理すれば、コツコツと利益を積み上げられる優れたツールです。
私の失敗を反面教師にして、ぜひ片道トラリピで無理のない自動売買を始めてみてください。
為替コヤジが過去に運用していた全13通貨ペアの設定と、その結果は下記の記事にまとめています。









コメント