「豪ドル/NZドルはレンジ相場でトラリピ向きだと聞きました。どんな設定がいいですか?」
「豪ドル/NZドルの売りがレンジを上抜けて、含み損がどんどん増えている…。どうすればいい?」
本記事ではこんな悩みを解決します。
豪ドル/NZドル(AUD/NZD)は、隣国同士の通貨の組み合わせでレンジ相場になりやすく、マネースクエア公式の「トラリピ世界戦略」にも採用されている、トラリピの定番通貨ペアです。
私・為替コヤジも2020年10月から豪ドル/NZドルをハーフ&ハーフで運用し、2025年までの約5年間で約122万円の利益を積み上げました。ところが2026年、約12年続いたレンジを上抜けたことで、わずか8か月で約194万円の損失を出しています。
本記事では、豪ドル/NZドルの最新の相場環境と片道トラリピの3条件による「今」の診断、そして「レンジ通貨ペアの代表格」で何が起きたのかを、過去の設定と実績をもとに解説します。
- 豪ドル/NZドルの最新の値動きと金利環境(2026年10月時点)
- 片道トラリピの3条件で見た豪ドル/NZドルの「今」の評価
- 為替コヤジが最後に運用していた豪ドル/NZドルのハーフ&ハーフ設定
- 5年分の利益が8か月で消えた経緯
- レンジ通貨ペアでも油断できない3つの教訓
豪ドル/NZドルの特徴と最新の相場環境

まずは豪ドル/NZドルの基本的な特徴と、2026年10月時点の相場環境を整理しておきましょう。
オーストラリアとニュージーランドは地理的にも経済的にも結びつきが強く、両国の景気や金融政策は似た方向に動きやすい傾向があります。そのため豪ドル/NZドルは値動きが小さく、レンジ相場になりやすい通貨ペアとして知られてきました。
ただし、両国の金融政策の方向が分かれると、その差がそのまま為替レートに表れる点には注意が必要です。2025年以降は、まさにその状況が起きています。
| 項目 | 内容(2026年10月初旬時点) |
|---|---|
| 現在のレート | 1.23~1.24NZドル前後(対米ドルレートから算出した概算) |
| 政策金利 | 豪州(RBA):4.60% ニュージーランド(RBNZ):2.75% |
| スワップの向き | 買い:プラス/売り:マイナス |
| トラリピの最小取引単位 | 1,000通貨 |
※スワップポイントは日々変動します。最新の値は必ずマネースクエアの公式サイトでご確認ください。
豪州は2026年に4回の利上げを行い、政策金利は4.60%になりました。ニュージーランドも7月以降に利上げを始めましたが、2.75%と豪州より約2ポイント低い水準です。この金利差が、豪ドル高・NZドル安の大きな要因になっています。
豪ドル/NZドルの値動き|約12年続いたレンジの上抜け

次に、豪ドル/NZドルの長期的な値動きを確認します。
旧設定は「2013年以降のレンジに収まる」という前提で作っていましたが、その前提は2025年から2026年にかけて崩れました。
旧設定の前提:2013年以降は1.00~1.13NZドルにほぼ収まっていた

豪ドル/NZドルの過去20年の月足チャートは1.00~1.40NZドルと広い範囲で推移していますが、2013年以降はおおむね1.00~1.13NZドルのレンジに収まっていました。
そこで中央値の1.07NZドル付近を境に、下に買い、上に売りを仕掛けるハーフ&ハーフを採用していました。
実は旧記事でも「1.00NZドルを下回る可能性より、1.13NZドルを超える可能性の方が高いので上抜けには注意が必要」と書いていました。リスクには気づいていたものの、それに備えた出口を用意していなかったことが、後の損失につながります。
2025年以降、豪州とNZの金利差拡大で上昇
2025年に入ると、豪州はインフレの高止まりから利下げに慎重になる一方、ニュージーランドは景気の弱さから利下げを続けました。両国の金利差が広がったことで豪ドル高・NZドル安が進み、豪ドル/NZドルは長年のレンジ上限を上抜けました。
2026年に入ると、豪州が利上げに転じたことで上昇に拍車がかかり、10月初旬時点では旧設定の売りレンジ上限(1.1400NZドル)を大きく上回る1.23~1.24NZドル前後で推移しています。
片道トラリピの3条件で診断|豪ドル/NZドルは今、仕掛けるべきか

ここからは、片道トラリピに適した通貨ペアを選ぶ3つの条件で、今の豪ドル/NZドルを診断します。
豪ドル/NZドルでスワップがプラスになるのは「買い」なので、買いの片道トラリピとして評価します。
| 条件 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| ① プラススワップが大きい | ○ | 豪州とNZの金利差が約2ポイントあり、買いでスワップを受け取れる |
| ② レンジ相場を形成している | × | 約12年続いたレンジを上抜けたばかりで、新しいレンジはまだ見えていない |
| ③ レートがレンジの端にある | × | 長年のレンジから大きく上に外れた高値圏。買いに適した底値付近ではない |
診断結果をまとめると、今の豪ドル/NZドルは片道トラリピの候補としては見送りというのが私の判断です。
買いはスワップがプラスですが、長年のレンジを上抜けた直後の高値圏から始めると、両国の金融政策が再び近づいたときに大きく反落するおそれがあります。売りはスワップがマイナスなので論外です。
「レンジ通貨ペアだから安心」ではなく、新しいレンジが形成されるまで様子を見るのが賢明です。
現在の条件に合う通貨ペアは、下記の記事で紹介しています。
【過去の記録】為替コヤジの豪ドル/NZドル ハーフ&ハーフ設定

ここからは、私が最後まで運用していた豪ドル/NZドルのハーフ&ハーフ設定を記録として紹介します。
現在は新規注文を停止しており、推奨設定ではありません。同じ失敗を避けるための参考としてご覧ください。
当時の設定内容
中央値付近を境に下に買い、上に売りを仕掛け、中央値に近い価格帯にはコアレンジを重ねていました。コアレンジはベースと同じ価格に重ねているため、この価格帯では1つの価格につき2,000通貨分の注文が入ります。
| 設定内容 | 買い | 売り |
|---|---|---|
| レンジ | ベース:1.0010~1.0700 コア:1.0410~1.0700 |
ベース:1.0710~1.1400 コア:1.0710~1.1000 |
| 注文金額 | 1,000通貨 | 1,000通貨 |
| トラップ本数 | ベース:70本 コア:30本 |
ベース:70本 コア:30本 |
| トラップ間隔 | 0.001NZドル | 0.001NZドル |
| 利益金額 | 8NZドル | 8NZドル |
| 決済トレール | あり | あり |
| ストップロス | なし | なし |
5年分の利益が8か月で消えた
豪ドル/NZドルは2020年10月に運用を始めました。2022年3月に全通貨ペアの新規注文を止めた際にいったん停止しましたが、8月に再開しています。年ごとの売買損益は以下の通りです。
| 年 | 売買損益(スワップ除く) |
|---|---|
| 2020年(10月から運用開始) | +65,706円 |
| 2021年 | +176,725円 |
| 2022年 | +144,683円 |
| 2023年 | +321,237円 |
| 2024年 | +315,975円 |
| 2025年 | +193,497円 |
| 2026年1月~8月 | -1,941,144円 |
| 合計 | -723,321円 |
2023年と2024年はそれぞれ30万円を超える利益を出し、私のトラリピの中でも最も安定した稼ぎ頭でした。
しかし2026年は2月から損切りが続き、8月までに約194万円の損失となりました。5年以上かけて積み上げた約122万円の利益を、わずか8か月で大きく上回る損失です。しかもこの数字にはスワップの支払いは含まれておらず、現在も残ったポジションの整理を続けています。
トラリピ全体の運用実績は、下記の記事ですべて公開しています。
豪ドル/NZドルから学んだ3つの教訓

豪ドル/NZドルの運用から学んだことを3つにまとめます。
「レンジ相場だから大丈夫」と考えてトラリピを運用している方にこそ、知っておいてほしい教訓です。
教訓1:レンジ通貨ペアでも、金融政策が分かれればレンジは崩れる
豪ドル/NZドルがレンジ相場になりやすいのは、両国の経済や金融政策が似た方向に動くからです。
逆に言えば、両国の金融政策の方向が分かれると、その前提は簡単に崩れます。豪州が利下げに慎重になり、ニュージーランドが利下げを続けた2025年以降の動きは、まさにその典型でした。レンジ通貨ペアでも、両国の金融政策の動向は定期的に確認しておく必要があります。
教訓2:「コツコツ型」の利益は、一度の大きな損失で吹き飛ぶ
トラリピの利益は、小さな決済益の積み重ねです。豪ドル/NZドルも、毎月数万円ずつ利益を積み上げてきました。
しかし一度レンジを外れると、損失は一気に大きくなります。利益の積み上げに比べて、損失は桁違いのスピードで膨らむことを前提に、資金管理を考えることが大切です。
教訓3:上抜けリスクに気づいていたなら、出口を決めておくべきだった
先に書いた通り、私は旧記事で「上抜けには注意が必要」と書いていました。それにもかかわらず、ストップロスを設定せず、売りポジションをそのまま持ち続けていました。
売りポジションはマイナススワップのため、含み損に加えてスワップの支払いも続きます。リスクに気づいたら、どこで撤退するかを先に決めておく。これが、片道トラリピでストップロスを推奨している理由です。
これらの失敗とその対策は、下記の記事でさらに詳しくまとめています。
よくある質問

豪ドル/NZドルのトラリピについて、よくいただく質問にお答えします。
Q. 豪ドル/NZドルはもうトラリピ向きではないのですか?
両国の経済の結びつきが強いという特徴は変わっていないため、将来また新しいレンジを形成する可能性はあります。ただし現在は長年のレンジを上抜けたばかりで、どこが新しいレンジになるのかが見えていません。新しいレンジが確認できるまでは様子を見るのがおすすめです。
Q. 豪ドル/NZドルのハーフ&ハーフで売りの含み損を抱えています。どうすればいいですか?
判断はご自身の資金状況によりますが、まずは新規の売り注文を止めることと、どこまで上昇したら損切りするかを決めることをおすすめします。売りポジションはマイナススワップがかかり続けるため、「いつか戻るまで待つ」場合も、そのコストを把握しておくことが大切です。
Q. 過去の設定をそのまま使ってもいいですか?
おすすめしません。旧設定のレンジ(1.0010~1.1400NZドル)は現在のレートより大きく下にあり、売りレンジはすでにすべて上抜けています。そのまま設定すると、売りのトラップが一斉に約定して大きな含み損を抱えるおそれがあります。
まとめ:豪ドル/NZドルは「レンジ通貨ペアでも油断しない」ことの教訓

本記事では、豪ドル/NZドルの最新の相場環境と、過去のハーフ&ハーフ設定とその結果を紹介しました。
要点を整理すると以下の通りです。
- 豪ドル/NZドルはレンジ相場になりやすい通貨ペアだが、2025年以降は約12年続いたレンジを上抜けた
- 豪州とNZの金融政策の方向が分かれ、金利差が広がったことが大きな要因
- 片道トラリピの3条件で見ると、今は新規エントリーを見送る局面
- 旧設定は5年で約122万円を積み上げたが、2026年の8か月で約194万円の損失となり、通算約72万円のマイナス
- リスクに気づいたら出口を先に決めておく。これが片道トラリピでもストップロスを推奨する理由
トラリピは仕組みを正しく理解し、リスクを管理すれば、コツコツと利益を積み上げられる優れたツールです。
私の失敗を反面教師にして、ぜひ条件のそろった通貨ペアで、片道トラリピを無理なく始めてみてください。
為替コヤジが過去に運用していた全13通貨ペアの設定と、その結果は下記の記事にまとめています。
同じ「トラリピ世界戦略」の通貨ペアで、約35万円のプラスで運用を終えたユーロ/英ポンドの記録は下記の記事で紹介しています。









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